『古代に真実を求めて』第九集


巻頭言

 会員論集・第九集発刊に当たって

古田史学の会代表 水野孝夫

   「古田史学の会」は一九九四年に発足した会です。十二年目を迎えました。
  会の目的は会則第二条に記載されています。
 「本会は、古田武彦氏の研究活動を支援し、旧来の一元通念を否定した氏の多元史観に基づいて歴史研究を行い、もって古田史学の継承と発展、顕彰、ならびに会員相互の親睦をはかることを目的とする」。

 定期的な情報として発行する、会員論集「古代に真実を求めて」はここに第九集を迎え、会員用のニュース紙として発行する、「古田史学会報」(年六回)は、こちらも七十二号を発行しました。古田武彦氏の新しい研究や講演内容もあれば、それに刺激された会員の研究成果などが、絶えず掲載されています。これらの情報の一部はインターネットのホームページ「新・古代学の扉」にも発表されています。古田武彦氏の言説に関心のある方々のご利用をお待ちします。

 古田武彦氏は昭和四十七年の著書『「邪馬台国」はなかった』以来、定説を否定する驚くべき古代史像を世間に提供してこられました。三国志のすべての写本に「邪馬臺国」と書いたものはなく、「邪馬壹(または一)国」であり、後代の文献に「邪馬臺国」とあるからといって、「壹は臺の誤り」とする根拠にはならないとする氏の説は、これを当然とする、われわれの会の原点であります。この目で見てゆくと、後代の学者の考えで原典の文字を勝手に変えた例が歴史資料に多いことに驚かされます。
 人間の生き方に反映させるために、歴史の研究はなされるものと考えます。
 宗教も同様であります。みんなが平和と共存共栄を願っているはずなのに、いつも世界のどこかで戦乱が絶えません。宗教が人を殺しています。「人間が宗教を超える」必要があることを、古田武彦氏は本書収録の講演で述べておられます。歪められた結果の神話を破壊して、真実の「人間の歴史」を再構成すべきです。
 それは誰かに与えられるものではなくて、各人が「自分で考えて納得できる」ものでなくてはなりません。なかなかむつかしいことではありますが。

 会員論集は会員のどなたにも、定説にとらわれることなく「真実」を探求した成果を発表する場であります。今後とも活発なご投稿をお願い致します。


新古代学の扉事務局へのE-mailはここから


『古代に真実を求めて』第九集

ホームページへ


制作 古田史学の会
著作  古田武彦