古事記国引き神話では、出雲の国ははじめ小さかったので、神様が四方から国を引きよせ大出雲国を作ったとある。
通説では引き寄せた部分も出雲の一部であったと解釈されているが、「の国」は北方にある海に門戸を開いた国と考えるとウラジオストックしかない。
ここに縄文時代に交流があったなら、日本の出雲近くの黒曜石がウラジオ近辺から出土する筈である。
古田武彦氏はこの想定でウラジオへ黒曜石を探しにゆき、ソ連学者の協力により、島根県隠岐島産の黒曜石がウラジオ近辺で見つかった。少なくとも、日本海を挟んで列島と対岸のウラジオに何らかの交流があったことは間違いなく、この黒曜石の発見によって古田の提唱は見事に立証された。
『古代通史』(原書房)