『三国志』魏志倭人伝には、帯方郡から邪馬壹国に至る行程について、出発地から経過地ごとの部分里程と全行程の里程が書いてある。全行程は一万二千余里、部分の里程の合計は論者にもよるが、一万数百里であって一致しないまま論じられて『三国志』が信用できない証拠のひとつとされてきた。
古田武彦氏は「部分の総和は全体に等しくなければならぬ」との論理が成り立たねば『三国志』の研究をやめる決意で研究し、記事中の二島(対馬と壱岐)の一辺里程を二倍(つまり島を半周)する計算により、部分総和=全体を完成させ、これを半周読法と名付けた。
『「邪馬台国」はなかった』(朝日文庫)