天は人の上に人を造らず・・・と云へり 総覧
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資料 和田家文書2 福沢諭吉『学問のすすめ』関係 天は人の上に人を造らず・・・云へリ 総覧

『東日流外三郡誌』(昭和五八年一二月二五日発行)
18,紋吾呂夷土史談 秋田孝季 史談者季慶民 和田長三郎 寛政五(一七九三)年八月十七日 四巻 460〜70

絞吾呂夷土史談

 神秘なる大宇宙陰陽を自転せしむ日輪と地界は、万物生長の父母にして、古代より是れを崇拝し荒神を号く。
 神とは無上の恩主にして古今を通じ不滅の救世主と曰ふ意なり。依て神と号くは人心の思考に余るもの総てを神とて号けたる人師論師の夢幻に想像せし偶像崇拝に及び、真実の生命を授けたる宇宙の法則を忘却せしは、神への反逆なり。
 人は法を定め権を以て制ふるを衆生に護りと曰ふも、是れ神をして見るに、人は人をさばくこと総ては罪なりと曰ふ。
 天は平等に光陰を万物に与へ、人のみのためならず、万物生々のもの総て神なる子なればなり。地に境をなし争ふさまは古今に通じて人は常に善なるは一人だになく罪人なり。
 神を造り法を定め種に従はすもの最悪なる罪人にて、天なる神はそのものに再び人身をして世に生命を与ふことなし。即ち、人心に神は造れず、聖者ともなれざる故に権を以て従かはせ、法を以て罰し、理を考じて洗脳せしにや。無智なる民はこれに順じたりきのみにして、神を用ふる術にかかりき衆生の哀れさなり。
 天地を父母とせざる神への反逆それぞ人として人を制する国王となりし人身に左右を自在さる世の捉こそ罪に深き作為なり。
 神は天に地に人の生々する所に境を造らず、照らす照さざるの地は非ざるなり。断じて余はいう、人は人をさばくことぞできざるものにて、神は人を人の上に造らず、人の下に人を造らず、万物ことごとく神の子なり。依て、生々に於て平等せしくらしに於て、人心いかで理ありとても、神なる造像をして衆を迷信に誘ては罪なり。神の最も分心怒に招く降罰行なり。
 日月の光明は至る不至の処なし、常にして平等たる万物の父母なれば、万物生々のものはみな神の子なれば、常に平等摂取にして、国王たる権にも法にも神よりみる処にしては万物の一物なる子にて特抜たる恵はなし。
 凡そ人の太古なる生原は、大宇宙の塵たる漂物を日輪の光熱作用に炎集し、一結の天体とて誕生せしめたるは地球たるものなり。
 即ち、地球とは大地大海をなすこの地界なり。陸土と水にて誕生せしこの地界に、天は生命体を創る陰陽の種精ぞ、万物生命体となるべき生命体種を地界に胎産せしめたるに創りぬ。即ち生命体とは、無の境より生ずる形物にて、生命は神の種精なれば不死不滅のものにして是を魂と曰ふ。
 この魂が入精する物は形体にて万物に類生せしその分岐の要類は、人もその一種なり。即ち、草木苔菌藻虫鳥魚貝獣の類万生物なり。人類は獣類より分岐せしものにてその原祖は地なる胎、即ち海より生じたる魚に当る也。
 地界の成れる創ぞ、陸起陸没にて、海陸困[固カ]定せず、海とて底より火泥煙灰を噴じ、陸地なるは至る処、泥火流れ噴火落雷に騒音し、やがて陸海固定しけるに、生物水中に誕生せり。是れぞ万物生長の創にて目に見えざる菌を以て生誕し、次に苔、藻なり。
 かくして魚、貝ぞ生れ、幾億年にかけて海より陸に生をなせしは草木なり。苔藻が陸に分岐なしたる草木の次に魚貝が陸に生を求め人類ぞ魚より身を猿類に変身せしものにて、陸より海に帰るなし。

(図は省略)

 此の図の如く、紋吾呂夷土人類とて吾ら祖先に於いては、天命に授りて幾度か世襲の変異にもめげず、今日なる我らを遺せしにや、神なる加護のたまものなればなり。
   寛政五年八月十七日
                 秋田孝季
            史談者  李慶民
                 和田長三郎
 長崎出島にて記す。


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『真実の東北王朝』(第六章『東日流外三郡誌』を問う)「神は人の上に人を造らず・・・」

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