< 調査概要1 国分神社蔵三銅鏡の鈕 調査概要1998年8月 古田武彦 藤田友治 谷本茂

『新・古代学』 第5集 へ
三角縁神獣鏡の史料批判 --三角縁人獣鏡論 古田武彦
方格規矩式鏡の形式についての一考察 鈕孔の向きに注目して
谷本茂


『新・古代学』古田武彦とともに 第5集 2001年 新泉社

調査概要1  国分神社蔵三銅鏡の鈕調査概要  1999 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂

調査概要2  島根県神原神社古墳出土「景□三年」銘銅鏡の鈕調査概要  2000 年 6 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂

調査概要3  「青龍三年」銘銅鏡二種の鈕について調査概要  2000 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂


国分神社蔵三銅鏡の鈕  調査概要

1999 年 8 月  古田武彦 藤田友治 谷本茂

 国分神杜、大阪府教育委員会、大阪市立美術館のご協力を得て、1999 年 7 月28 日に国分神杜蔵の三枚の銅鏡を大阪市立美術館にて実見・調査したので、主に鈕に関して、その概要を報告する。

 調査当日は、久米雅雄氏(大阪府教育委員会事務局、文化財保護課 芸術文化係 主査)と大重薫子氏(大阪市立美術館 研究副主幹)の立会いのもと、古田、藤田、谷本の三人が目視・写真撮影・ビデオ撮影・寸法測定を実施した。

(1)平縁盤龍鏡[「青蓋作」銘]

鏡面直径  : 141 ㎜
銘文 : (42 文字 右回り) 青蓋作竟四夷服多賀國家人民息胡虜殄威天下復風雨時節五穀熟長保二親得天力傳告后世楽母極
鈕の直径  : 25 ㎜
鈕座の外径 : 33 ㎜
鈕の高さ  : 鈕座面より鈕頂まで約15 ㎜
鈕と縁の高さとの関係 : 平縁面を水平基準として鈕頂が 5.5㎜上に出ている(高い)。
鈕孔 : 最外部の寸法は高さ約 6 ㎜、幅約 8 ㎜のアーチ状の断面であり、ほぼ同寸法の断面形状で貫通している。中央部でも高さ 5 ㎜、幅 7 ㎜の断面形状を維持しており、きれいな「かまぼこ」状の孔になっている。[添付の図面を参照のこと]鈕孔表面の仕上がりも良好である。

平縁盤龍鏡[「青蓋作」銘] 調査概要1 国分神社蔵三銅鏡の鈕調査概要 1998 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂 『新・古代学』 第5集 2001年 新泉社

 

(2)三角縁四神二獣鏡[「吾作・・・海東」銘]

鏡面直径 : 223 ㎜
銘文:(20 文字 左回り 字間に小乳)吾作明竟真大好浮由天下□(赦?)四海用青同至海東
       (4文字 右回り 方格内) 君宜高官
鈕の直径  : 37 ㎜
鈕座の外径 : 52 ㎜(鈕座の内径 : 42 ㎜)
鈕の高さ   : 鈕座面より鈕頂まで約 15 ㎜
鈕と縁の高さとの関係 : 三角縁頂上面を水平基準としてみると、鈕頂がちょうど隠れる。
               つまり三角縁の頂と鈕頂とはほぼ同じ高さになっている。
鈕孔 : 孔の断面形状が一様でない。方格内文字「官」側から見た孔を(A)、「宜」側から見た孔を(B)とすると、(A)の最外部の寸法は高さ約 6 ㎜、幅最大約 9 ㎜のくずれた方形状の断面であり、上辺に比べて下辺が短い逆台形に近い形になっている。一方(B)の最外部断面はきれいな方形に近い形をしており、側面はやや樽型に湾曲している。高さ約 6.5 ㎜、最大幅約 8 ㎜、上下両辺は約 8 ㎜である。[添付の図面を参照のこと]
孔の貫通状態は一様ではなく、中央部で狭くなっており、その断面も角がとれた方形に近い形状(高さ約 3.5 ㎜、幅約 5 ㎜)である。孔の内表面の凹凸が製作時からのものか、酸化物あるいは付着物によるものか目視では定かではない。鈕表面の仕上がりはあまり良くない。

三角縁四神二獣鏡[「吾作・・・海東」銘] 調査概要1 国分神社蔵三銅鏡の鈕調査概要 1998 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂 『新・古代学』 第5集 2001年 新泉社

 

(3)三角縁四神四獣鏡[「新作・・・子孫」銘]

                                                 得→徳

鏡面直径 : 232 ㎜
銘文:(60 文字 右回り)新作明竟幽楝*三剛銅出徐州師出洛陽彫文刻鏤皆作文章配得君子清而且明左龍右虎轉世有名獅子辟邪集曾并王父王母游戯聞□□□(長?)宜子孫
        楝*は、木偏の代わりに三水編。
鈕の直径  : 37 ㎜
鈕座の外径 : 51 ㎜(鈕座の内径 : 42 ㎜)
鈕の高さ  : 鈕座面より鈕頂まで約 15.5 ㎜
鈕と縁の高さとの関係 : 三角縁頂上面を水平基準として、鈕頂が約 2.5 mm上に出る(高い)。
鈕孔 : 孔の断面形状が一様でない。銘文「集會」側から見た孔を(C)、「師出洛陽」側から見た孔を(D)とすると、(C)の最外部の寸法は高さ約 5 ㎜、幅最大約 12 ㎜のややくずれた方形状の断面であり、上辺に比べて下辺が短い逆台形に近い形になっている。側面は糸巻き状に内に湾曲している。断面上辺は約 12 ㎜、中央部が約 8.5 ㎜、下辺が約 9.5 ㎜となっている。一方(D)の最外部断面は上からつぶされた様な逆三角形に近い形にくずれており今回調査した三枚の鏡の鈕孔で最も歪んだ形状になっている。高さ約 3.5 ㎜、最大幅は約 8 ㎜である。孔の周囲には損耗部分があり、その最大幅は約 13 ㎜となっている。[添付の図面を参照のこと]
孔の貫通状態は一様ではなく、中央部で狭くなっており、その断面は角のとれた方形状(高さ約 3.5 ㎜、幅約 5 mm)にくずれている。孔の内表面の凹凸が製作時からのものか、酸化物あるいは付着物によるものか目視では定かではない。鈕表面の仕上がりは良好である。

三角縁四神四獣鏡[「新作・・・子孫」銘] 徐州・洛陽鏡 調査概要1 国分神社蔵三銅鏡の鈕調査概要 1998 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂 『新・古代学』 第5集 2001年 新泉社

調査概要1

国分神社蔵三銅鏡の鈕調査概要 1998 年 8 月 古田武彦 藤田友治 谷本茂 『新・古代学』第5集 2001年 新泉社


三角縁神獣鏡の史料批判 --三角縁人獣鏡論 古田武彦

方格規矩式鏡の形式についての一考察 鈕孔の向きに注目して 谷本茂

『新・古代学』 第5集 へ

ホームページへ


これは研究誌の公開です。史料批判は、『新・古代学』各号と引用文献を確認してお願いいたします。

新古代学の扉 インターネット事務局 E-mailは、ここから

Created & Maintaince by“ Yukio Yokota“